石塚アキの日記
那須のおたんこ通信
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あれから
2013年 11月 04日 (月) 22:53 | 編集
2007年から2011年まで住んでいた場所。

住宅地から少し離れ、こんなところに?というような周りを牧場と森に囲まれた
場所にある築40年を超す古い官舎。

古いから、たてつけも悪く、断熱材なんて入ってないから
冬は部屋の中でも息が白くて、窓だけじゃなく壁まで結露で濡れた。
放っておくとすぐにカビが生えるから、拭き掃除が大変で、
もちろん押し入れなんかふすまを閉められないから
ふすまは取り外してしまうけど、除湿剤なんてまったく意味をなさず
中に本でも入れたらすぐに湿気でブヨブヨになった。

部屋中締めきっていても、隙間風で娘用のモビールが常に回っていた。

生活するには快適とはほど遠い家だったけれど、
ペンキのはげたうすあずき色の手すりやドア、
玄関の壁一枚隣にある、脱衣所のない浴室が結構好きだった。


13102710.jpg

窓からの景色をたくさん写真におさめたことは、今までない。

身の回りの自然をもっと知りたくて、住人仲間で木に名札をつけてまわった。

春にはつくしやたんぽぽが足もといっぱいに広がり、サクラの花びらが
が積もる間からのぞいたヨモギをつんでおまんじゅうを作った。
建物を囲むスギとヒノキからは大量の花粉が飛散し、花粉症デビュー。

梅雨は静かな雨、息苦しくなるほどの湿気とともに漂ってくるきつーい家畜のにおい。

夏はうるさいほどのセミの鳴き声と暗くなるまで聞こえるこどもたちの遊ぶ声がひびいた。

秋はどんぐりや松ぼっくりが落ち葉のじゅうたんの上に転がり、冬支度で侵入してくる
カメムシの大群と格闘し、

長い冬はいくらでも降る雪に飽きることなく外に飛び出して、結露でびちゃびちゃの
窓越しに真っ白な森の姿をいつまでも眺めた。

自生するフキノトウ、ミョウガ、タラの芽、シソ、ミツバ、ヨモギ、クワ・・・。
身の回りの植物を使って料理や工作の楽しみが無限だった。

郵便ポストにシジュウカラが卵を産み、それをアオダイショウが狙う。

キツツキが木をたたく音が聞こえる。

キジが高い声で鳴く。

娘は石ころやドングリ、虫に何時間でも夢中になる。

小さな畑ではじめての野菜作りを経験した。



小さな宇宙がそこにはあって、5年間でどれだけ自然のことを知れただろう。


振り返ると、
ここで長女を4年間育てられたことを本当にしあわせに思う。
濃厚な時間だったと思う。

13102307.jpg


今のすまいから車で1時間ほどだけれど、原発事故直後 2.0 μ Sv ほどの
数値が出るほど汚染されてしまい、しばらく足を踏み入れることはなかった。


先日2年ぶりに訪れたそこは、
遊具が取り除かれ、ほとんどの木が伐採され、土が削られ、
巨大なビニール製の袋がこれでもかとずらっと並べられ、
私たちの知っている場所とはほど遠い姿になっていた。

13102711.jpg


長女がここにいたことを思い出せなかったのは、幼かったから?


まったく違う姿になってしまったから?



こんなにも苦しい気持ちを、それ以上の気持ちを、
福島の避難区域の人たちみんなが味わっているのかな。

いろいろなもの、すべてにあやまりたいです。


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